(あべゆたか)
俳優・映画監督。宮城県桃生郡矢本町(現在の宮城県東松島市)出身。新東宝株式会社の女優であった千明みゆきの夫。
私立東北中学を退学後、カリフォルニア州ロサンゼルスに在住していた叔父を頼って弟とともに渡米し、地元のハイスクールに通う。演劇学校で日本人エキストラを募集していたために応募してみたところ、青木鶴子や早川雪洲が主演を務めた映画「神の怒り」に出演することになった。以後、エキストラとして多くの映画に出演する傍ら、脚本や演出も手掛けるようになる。また、セシル・B・デミルが監督を務めた1915年のハリウッド無声映画「チート」に重要な役柄で出演したことで注目を集め、「ジャック・ユタカ・アベ」「ジャック・アベ」などの芸名で活躍するようにもなった。日本に帰国後は、主に映画監督として活躍。1920年代後半から1960年代前半にかけて、数多くの映画でメガホンを握った。
出演した主な映画には、上述した「チート」を始め、「Her American Husband」「The Pagan God」「Who Is to Blame?」「The Willow Tree」「What Ho, the Cook」「A Tale of Two Worlds」「Lotus Blossom」などがある。
監督を務めた主な映画には、「母校の為めに」「新生の愛光」「雪辱の日」「世界の智恵者」「足にさはつた女」「陸の人魚」「彼を繞る五人の女」「屍は語らず」「人形の家」「花嫁花婿再婚記」「結婚二重奏」「からたちの花」「競艶女さまざま」「日本晴れ」「母三人」「日活アラモード」「日活オンパレード」「光・罪と共に」「もだん聖書」「若夫婦試験別居」「海国大日本」「日像月像」「緑の地平線」「太陽の子」「十字砲火」「恋愛と結婚の書」「燃ゆる大空」「あの旗を撃て」「南海の花束」「愛よ星と共に」「僕の父さん」「細雪」「流星」「私はシベリヤの捕虜だった」「歌へ!太陽」「戦艦大和」「恋人のいる街」「日本敗れず」「春色お伝の方」「日本敗れず」「色ざんげ」「素足の娘」「最後の突撃」「銀座の砂漠」「仮面の女」「大阪の風」「静かな脱獄者」「二連銃の鉄」「いのちの朝」「大出世物語」などがある。
死因などの詳細は不明。81歳。