稲垣浩

(いながきひろし)
映画監督・俳優・脚本家。特に時代劇の分野で数々の作品を生み出し、日本映画界が発展する基礎を支えた大御所監督の1人として知られている。制作した映画の総数は実に100本を超えるとされる。「東明浩」「藤木弓」「梶原金八」といった名義での活動歴もある。俳優である東明二郎の息子。

東京本郷区(現在の東京都文京区)に生まれ、7歳より子役俳優として「東明浩」の芸名で活躍した。1922年に日活株式会社の向島撮影所に入社し、溝口健二監督の作品に出演するなど、引き続き俳優として活動。その後、1927年に松竹株式会社の京都撮影所に入社、俳優から転じて助監督となり、制作側の道を歩み始める。以後、滝沢英輔監督や山中貞雄監督の作品で脚本を手掛けるなどしながら着々とキャリアを積み上げ、ほどなくして監督として数々の作品を発表するようになる。

主な監督作品には、「放浪三昧」「天下太平記」「時代の驕児」「瞼の母」「関の弥太ッぺ」「宮本武蔵(シリーズ)」「江戸最後の日」「海を渡る祭礼」「無法松の一生」「佐々木小次郎」「俺は用心棒」「戦国無頼」「柳生武芸帳(シリーズ)」「或る剣豪の生涯」「日本誕生」「ゲンと不動明王」「野盗風の中を走る」「大坂城物語」「忠臣蔵」「秘剣」「どぶろくの辰 」「風林火山」「待ち伏せ」「がらくた」「決闘巌流島」「手をつなぐ子等」「狼火は上海に揚る」「忘れられた子等」などがある。

受賞歴に、ヴェネツィア国際映画祭・金獅子賞などがある(1958年、「無法松の一生」にて)。

死因は、肝硬変であった。74歳。

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