田村泰次郎

(たむらたいじろう)
作家・小説家。終戦直後の東京を舞台として、混沌とする社会の中で懸命に生き抜く女性たちを描いた「肉体の門」などの代表作に見られる通り、本人の戦争経験に基づく独特の人間観・生命観が多くのファンによって高く評価され、「肉体派作家」の第一人者として名を馳せた。「肉体の門」は、発売総数120万部を超える大ベストセラーを記録し、劇団空気座によって舞台化されたほか、現在までたびたび映画化もされている。

数多くの作品を発表する一方で美術品に傾倒するマニアでもあり、美術評論家連盟理事や日本文芸家協会理事などの要職も務めたほか、「現代画廊」という画廊も経営していた。

主な著作には、上述した代表作である「肉体の門」を始め、「学生の情熱」「強い男」「狩られる女」「春婦伝」「不良少女」「入道雲」「銀座裏」「女しゃべる」「地獄から来た女」「今日われ欲情す」「雁かへる」「刺青」「南風薫るところ」「新粧五人女」「幸福のための秘密」「白夜行路」「情熱山河・都会の青草」「人間夜色」「東京不夜城」「女豹の地図」「女の復讐」「風の中の女たち」「泥んこ夫人」「抵抗する女たち」「銀座慕情」「断崖の花々」「白い望楼」「肉体の都」「女の一生」「幸福の座席」「人間の街パリ」「斜面の女」「戦場の顔」「三平好日」「群狼の街」「わが文壇青春記」「東京のイヴ」「偽われる女体」「深い傷のなかで」「失われた男」「愛の航跡」「永遠にわれ愛す」「昨日の花々」などがある。

東京都中野区にある病院にて死去。死因は、心筋梗塞であった。71歳。脳血栓で倒れたことをきっかけに執筆活動を休止し、晩年は同病とともに糖尿病も併発するなど健康状態に悩まされていた。

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