笹沢左保

(ささざわさほ)
作家・小説家。詩人である笹沢美明の息子。戦後日本を代表する流行作家として知られているが、テレビドラマや映画として映像化され大ヒットを記録した股旅物時代小説シリーズ「木枯し紋次郎」の作者として特に有名。時代小説に限らず、サスペンス・推理小説・エッセイなど、幅広い分野に渡るその著作は400近くにも及ぶと言われている。世界や人生に対して独特の見方・感覚を持ち、人間には宿命があり、それによって生かされているものであるという独自の人生観を持つきっかけとなったのは、人妻と不倫の末、山梨県の山中で自殺未遂を起こした22歳の時であったとされる。

主な作品は、上述した「木枯し紋次郎」シリーズを始め、「悪魔の部屋」「悪魔の関係」「悪魔の誘惑」といった悪魔シリーズ、「他殺岬」「無情岬」「愛人岬」といった岬シリーズ、「追越禁止」「昼下がり」「アリバイの唄」といった夜明日出夫シリーズなどがシリーズものとして有名。その他には、「女は月曜日に泣く」「さらば土曜日の北風」「招かれざる客」「結婚って何さ」「人喰い」「揺れる視界」「突然の明日」「死人狩り」「地下水脈」「海の晩鐘」「求婚の密室」「日曜日には殺さない」「アリバイの唄」「ふり向けば霧」「見かえり峠の落日」「寛永の遺臣たち」「黒船と最後の権力者たち」「わが威光尊ぶべし」「汚名晴らすに及ばず」「武蔵敗れたり」「わが心安からず」「信為すべし」「兵法は不滅なり」「疫病神呑太」「疫病神捕物帳」「夢と承知で」「地獄の辰」「半身のお紺」「潮来の伊太郎」「江戸の夕霧に消ゆ」「美女か狐か峠みち」「無宿人御子神の丈吉」「音なし源捕物帳」「東海道つむじ風」「日光道狂い花」「嘉永二年の帝王切開」「嘉永六年のアルコール中毒」「俳人一茶捕物帳」「玄白歌麿捕物帳」「お助け同心巡廻簿」「雪に花散る奥州路」「さすらい街道」「新大岡政談」「大江戸無頼」「今朝もまた夢 平手造酒外伝」「文政・八州廻り秘録」「一千キロ、剣が疾る」「家光謀殺 東海道の攻防十五日」「家康誅殺始末記」「女人切腹」「お不動さん絹蔵捕物帖」「海賊船幽霊丸」「詩人の家」「愛し方愛され方の秘密」「そんな恋ならやめなさい」「ガンも自分 いのちを生ききる 僕のガン克服記」などがある。

なお、映画やテレビドラマとして映像化された作品は数知れず、上述した「木枯し紋次郎」の他、「女は復讐する」「悪魔の部屋」「乗っていたのは二十七人」「地獄の辰捕物控」「峠シリーズ」「お助け同心が行く!」「音なし源 さの字殺し」「家光謀殺 三代将軍に迫る謎の暗殺軍団!」「女取調官」「保険犯罪調査員 佐伯初音 空白の起点」「タクシードライバーの推理日誌」など、枚挙に暇がない。

また、「木枯し紋次郎」「真田十勇士」「銀狼に孤独をみた」など、漫画化されている作品も多い他、俳優として「木枯し紋次郎」「HOUSE/ハウス」「金田一耕助の冒険」「取調室シリーズ」といった映画やテレビドラマへの出演も果たしている。

主な受賞歴に、宝石賞・日本探偵作家クラブ賞・日本ミステリー文学大賞などがある。

病院にて死去。死因は癌であった。71歳。直接死因となった癌の他、いくつもの病気を抱えており、1992~1993年にかけては、5回もの手術を経験している。また、上述した自殺未遂の他、やくざとの決闘も数知れず、瀕死の交通事故に見舞われることもあったという。まさに生死ぎりぎりを生き抜いてきた波乱の人生であった。

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