水上勉

(みずかみつとむ)
作家・小説家。国の栄誉機関・国立アカデミーである文化庁の特別機関「日本芸術院」会員。旭日重光章受章者。文化功労者。大飯町名誉町民。推理小説・自伝的小説・歴史小説・純文学など、幅広いジャンルを扱う、日本を代表する作家の1人。

雑誌や同人誌を創刊し、自身も短編小説などの作品を掲載していたが、一躍その名が広まったのは、1959年に発表された小説「霧と影」によってである。以後、数々のヒット作を生み出し、多くの賞を獲得した。

主な小説作品は、上述した「霧と影」の他、「フライパンの歌」「火の笛」「耳」「虚名の鎖」「雁の寺」「黒壁」「決潰」「蜘蛛の村にて」「虫の宴」「死の流域」「五番町夕霧楼」「飢餓海峡」「越前竹人形」「空白のカルテ」「越後つついし親不知」「あかね雲」「赤い灯台」「好色」「しがらき物語」「春の波濤」「湖の琴」「私の受けた家庭教育」「おきん」「くも恋いの記」「ちりめん物語」「佐渡の埋れ火」「櫻守」「狩野芳崖」「霙」「樹影」「男色
「枯木の周辺」「静原物語」「鈴の鳴る人」「古河力作の生涯」「馬よ花野に眠るべし」「はなれ瞽女おりん」「近松物語の女たち」「一休」「越前一乗谷」「蓑笠の人」「わが風車」「藤島の戦い」「金閣炎上」「母一夜」「父と子」「鳩よ」「白蛇抄」「草隠れ」「石よ哭け」「秋夜」「箒川」「沢庵」「才市」「故郷」「清富記」「花畑」「筑波根物語」など、枚挙に暇がない。

また、伝記・回想・エッセイの分野における作品には、「日本の壁」「失われゆくものの記」「一匹のひつじ」「生きるということ」「宇野浩二伝」「水上勉の本」「私のなかの寺」「恋愛指南」「金閣と水俣」「流旅の人々」「片しぐれの記」「土を喰ふ日々」「京都古寺逍遥」「働くことと生きること」「水上勉による水上勉」「「般若心経」を読む」「絵のある風景」「良寛を歩く」「旅の思い出図絵」「若狭憂愁」「芝居ごよみ」「一休を歩く」「禅とは何か」「在所の桜」「年々の竹」「京都花暦」「立往生のすすめ」「一日暮し」「竹紙を漉く」「植木鉢の土」「ただいまを生きる」などがある。

児童向け分野では、「世界の文豪」「ブンナよ、木からおりてこい」「小さな山の家にて」「さすらい山河・地底の声」「あひるの子」などがある。

創出された作品のうち、その多くが映画やテレビドラマとして映像化されている。その一部には、「雁の寺」「霧と影」「五番町夕霧楼」「越後つついし親不知」「はなれ瞽女おりん」「父と子」「土を喰らう十二ヵ月」「黒い穽」「フライパンの唄」「死の流域」「沙羅の門」「京の川」「湖の琴」「坊の岬物語」「草暦」「おもんの女」「霰」「しがらき物語」「もう一つ華燭」「西陣の女」「女の森で」「太陽を見ず」「飢餓海峡」「逆光 – 保護司・笹本邦明の奔走」などがある。

主な受賞歴に、日本探偵作家クラブ賞・文藝春秋読者賞・毎日芸術賞・婦人公論読者賞・斎田喬戯曲賞・日本芸術院賞(恩賜賞)・直木三十五賞・菊池寛賞・吉川英治文学賞・谷崎潤一郎賞・川端康成文学賞・親鸞賞・東京都文化賞・福井県民賞などがある。

死因は、肺炎であった。85歳。

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