(くぜてるひこ)
演出家・テレビプロデューサー・作家・小説家・実業家。テレビの制作プロダクションである「株式会社カノックス」(KANOX)の創業者としても知られている。自治官僚・政治家・元参議院議員である久世公堯の弟。 数々の著名アーティストが歌った楽曲の作詞も手掛けており、その際の名義は「小谷夏」もしくは「市川睦月」。紫綬褒章受章者。
東京大学を卒業後、ラジオ東京(現TBSホールディングス)に入社、数々のテレビドラマを制作したのち、1979年に退社。1980年には独立して上述の株式会社カノックスを設立した。
その後は多数のテレビドラマや映画、舞台などをプロデュースする傍ら、作家として評論・随筆(エッセイ)・小説など、幅広いジャンルにおいて執筆活動を展開。数多くの賞を受賞した。
演出・企画・プロデュースなどを手掛けた主なテレビドラマ作品には、「七人の孫」「真田幸村」「時間ですよ」「寺内貫太郎一家」「おはよう」「ムー」「悪魔のようなあいつ」「お春捕物日記」「真夜中のヒーロー」「源氏物語」「みだらな女神たち」「あとは寝るだけ」「刑事ヨロシク」「冬の家族」「藤子不二雄の夢カメラ」「ガンコおやじに敬礼!」「花嫁人形は眠らない」「時間ですよふたたび」「恋子の毎日」「桜子は微笑う」「キツイ奴ら」「わが母の教えたまいし」「明日はアタシの風が吹く」「隣りの神様」「時間ですよ殺人事件」「花迷宮・上海から来た女」「黒い画集 坂道の家」「世にも奇妙な物語」「怪談」「なんだらまんだら」「華岡青洲の妻」「みんな夢の中」「お玉・幸造夫婦です」「いつか見た青い空」「言うなかれ、君よ、別れを」「小石川の家」「メロディ」「坊っちゃんちゃん」「昭和のいのち」「センセイの鞄」「向田邦子の恋文」「あさき夢見し」「東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン〜」などがある。また、映画には、「ワニと鸚鵡とおっとせい」「任侠花一輪」「夢一族」「自由な女神たち」など。
その他、「浅草パラダイス」「浅草慕情」「ご存じ浅草パラダイス」「さらば浅草パラダイス」「冬の運動会」「憎いあんちくしょう」「源氏物語」「人情酸漿蛍」「センセイの鞄」など、多数の舞台も手掛けた。
著書(共著を含む)に、「一九三四年冬―乱歩」「聖なる春」「謎の母」「蕭々館日録」「あべこべ」「女神」「へのへの夢二」「有栖川の朝」「雛の家」「怖い絵」「雨季の女たち」「ニホンゴキトク」「美の死 ぼくの感傷的読書」「「私があなたに惚れたのは」「わが心に歌えば」「犬に埋もれて」「歳月なんてものは」「歌が街を照らした時代」「「女」のはなし」「マイ・ラスト・ソング」「月がとっても青いから」「マイ・ラスト・ソング最終章」「死のある風景」「冬の女たち」「夢あたたかき」「触れもせで」「浅草ロック座昭和末年」「銀座24の物語」「この人生の並木道」「中原中也のこころ」「久世塾」などがある。また、「大遺言書」「生きていりゃこそ」「さらば大遺言書」といった「大遺言書」シリーズは、森繫久彌との共著であった。
その他、「涙から明日へ」(堺正章)、「ひとりじゃないの」(天地真理)、「ふたりの秘密」(西城秀樹)、「さよならの季節」(朝丘雪路)、「両手で愛して」(梓みちよ)、「コバルトの季節の中で」(沢田研二)、「真夜中のヒーロー」(郷ひろみ)、「猫が見ている」(山口百恵)、「スカーレットドリーマー」(美川憲一)、「無言坂」(香西かおり)、「ラスト·シーン」(桂銀淑)といった楽曲の作詞も手掛けた。
受賞歴に、芸術選奨文部大臣賞、Bunkamuraドゥマゴ文学賞、日本レコード大賞、山本周五郎賞、日本作詩大賞、泉鏡花文学賞、文化庁芸術祭優秀賞、日本民間放送連盟賞(番組部門・テレビドラマ最優秀賞)、ギャラクシー賞などがある。
自宅にて死去。死因は、虚血性心不全であった。70歳。過去には脳梗塞や糖尿病を患ったことがあるものの、亡くなる直前まで仕事をしており、訃報には多くの関係者が悲しみと共に驚きを隠せなかったという。