J・G・バラード

(ジェームズ・グレアム・バラード)
作家・小説家(イギリス)。特に、SFやディストピアの分野における作品で名高い。出身は、中華民国の上海市である。

中華民国上海市に置かれていた共同租界である「上海共同租界」にて幼少時代を過ごし、第二次世界大戦後に日本軍の捕虜収容所に抑留されたあと、ようやく母国イギリスに帰還するという苦難の経験を持つ。なお、この体験をのちに自伝長編小説「太陽の帝国」としてまとめて発表した上、世界的な巨匠であるスティーブン・スピルバーグ監督によって映画化も果たしている。

イギリスの著名な総合大学であるケンブリッジ大学や、首都ロンドンの中心部、ラッセル・スクウェアに本拠を構えるカレッジ制連合大学であるロンドン大学などで学んだあと、イギリス空軍に入隊中にSFに目覚め、除隊後に創作を開始する。以後、SF作品を中心に数々の作品を発表。

主な長編小説作品に、上述した「クラッシュ」や「ハイ・ライズ」を始め、「狂風世界」「燃える世界」「沈んだ世界」「結晶世界」「コンクリートの島」「22世紀のコロンブス」「奇跡の大河」「ハロー、アメリカ」「コカイン・ナイト」「楽園への疾走」「女たちのやさしさ」「千年紀の民」「スーパー・カンヌ」などがある。

短編集では、「時間都市」「時の声」「永遠へのパスポート」「残虐行為展覧会」「溺れた巨人」「死亡した宇宙飛行士」「ヴァーミリオン・サンズ」「ウォー・フィーバー」「第三次世界大戦秘史」などがある。

自伝作品では、上述した「太陽の帝国」を始め、「女たちの優しさ」「人生の奇跡」など。

なお、先に述べたスティーブン・スピルバーグ監督による1987年のアメリカ映画「太陽の帝国」の他にも、映画化された作品として、デヴィッド・クローネンバーグ監督による1996年のカナダ映画「クラッシュ」や、ベン・ウィートリー監督による2016年のイギリス映画「ハイ・ライズ」などがある。

死因は、前立腺癌であった。78歳。以前より同病を患い、長期に渡って闘病生活を続けていたという。

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