ファンタジー作家・小説家(イギリス)。幼少期の子供に向けた独創的なファンタジー小説作品(主に魔法使いが登場する)を数多く残した女性として有名。
イギリスの首都ロンドンに生まれ、幼少時代から古典文学の英雄がヒーロー(男性)であり、ヒロイン(女性)でないことに疑問を感じていた。若くして結婚、3児の母となったため、子育てに勤しむ傍らでファンタジー小説を発表。日本では、スタジオジブリ制作で、宮崎駿が監督を務めた2004年の長編アニメーション映画「ハウルの動く城」の原作者として特に知られている(原作となった小説のタイトルは「魔法使いハウルと火の悪魔」で、1986年刊行。日本語訳は1997年に出版された)。また、2020年には、同じくスタジオジブリ制作の下、宮崎駿の息子である宮崎吾朗が監督を務めたアニメーション映画「アーヤと魔女」が公開されたが、これも当人の同名ファンタジー小説が原作となっている。
主な作品に、上述した「アーヤと魔女」や、「魔法使いハウルと火の悪魔」と併せて「ハウルの動く城」シリーズを構成する「アブダラと空飛ぶ絨毯」「チャーメインと魔法の家」を始め、「魔女と暮らせば」「トニーノの歌う魔法」「クリストファーの魔法の旅」「魔法の館にやとわれて」「キャットと魔法の卵」(以上、「大魔法使いクレストマンシー」シリーズ)、「聖なる島々へ」「時の彼方の王冠」「詩人たちの旅」(以上、「デイルマーク王国史」シリーズ)などがある。そのほか、「マライアおばさん」「呪われた首環の物語」「七人の魔法使い」「わたしが幽霊だった時」「バウンダーズ – この世で最も邪悪なゲーム」「時の町の伝説」「花の魔法、白のドラゴン」「魔空の森ヘックスウッド」「海駆ける騎士の伝説」「バビロンまでは何マイル(シリーズ)」「ぼくとルークの一週間と一日」「魔法泥棒」「牢の中の貴婦人」「魔法!魔法!魔法!」など、多数。
主な受賞歴に、C・S・ルイスやJ・R・R・トールキンなどがメンバーであったグループ「インクリングズ」の精神を具現化したファンタジー作品に対して授けられる「ミソピーイク賞」を始め、英国幻想文学協会(略称:BFS)が主催するファンタジーやSF作品に授けられるイギリスの文学賞である「英国幻想文学大賞」(カール・エドワード・ワグナー賞)、ファンタジー作品を対象としたアメリカの文学賞である「世界幻想文学大賞」(生涯功労賞)などがある。そのほか、数々の賞においてたびたびノミネートされた。
死因は、肺癌であった。76歳。同病により、2年近くにおよぶ闘病生活を送りながら復活を目指していたが、願い叶わず帰らぬ人となってしまった。