(いそいまさみ)
漆芸家。香川漆芸における「蒟醤(きんま)」技法の保持者として、1985年に人間国宝(重要無形文化財保持者)に認定されている。紫綬褒章・勲四等旭日小綬章受章者。なお、当人の師匠で、父親でもある磯井如真氏も香川漆芸の人間国宝。
「蒟醤」は、香川漆芸の技法の1つで、色漆を彫った溝に埋め込んで磨くというもの。この技法を用いて、如真氏が創案した表現である「点彫り」をさらに応用し、「往復彫り」と呼ばれる色合いが滲んだ線が生まれる表現などを新たに編み出した。その作品の数々は、植物や蝶といった身近な素材をシンボルとして採用し、陽炎のゆらめきや波間の動きなど、通常では容易に捕捉できない形をモチーフとする。
自ら作品を生み出す一方で、香川県漆芸研究所における主任講師として、9月初旬まで後進の指導にあたっていたという。
死因は、腎不全であった。97歳。