ダモ鈴木

(だもすずき)
歌手・ミュージシャン。神奈川県生まれ。旧西ドイツにおけるアヴァンギャルドな伝説的ロックバンドとして1970年代初頭に活躍した「Can」(カン)のヴォーカリストとして世界的に知られている。楽譜やリハーサルが一切なく、「インスタント・コンポージング」と名付けられた独特なアドリブ歌唱でミステリアスに歌うスタイルが大きな人気を博した。また、普段から秩序に乏しい自由奔放な行動で話題を集め、国際派日本人ヒッピーとして一部からはカリスマ的な存在として崇められた。

「Can」として発表した主なアルバム作品には、「タゴ・マゴ」(Tago Mago)、「エーゲ・バミヤージ」(Ege Bamyasi)、「フューチャー・デイズ」(Future Days)、「サウンドトラックス」(Soundtracks)、「アンリミテッド・エディション」(Unlimited Edition)などがある。

「Can」では1973年までヴォーカルを担当し、その後脱退。以後、「ドンクルツィッファー」や、「Can」の創設メンバーでドラムスを担当していたヤキ・リーベツァイトの「ファントムバンド」などに参加。自身も、ライブ音楽プロジェクトである「ダモズ・ネットワーク」(Damo Suzuki’s Network)を立ち上げ、世界各国にて数々の人気ミュージシャンと共演を果たした。

「ドンクルツィッファー」の発表アルバムには、「イン・ザ・ナイト」(In The Night)や「ライブ」(Live)、「III」などがある。また、「ダモズ・ネットワーク」の発表アルバムには、「シアトル」(Seattle)、「JPN ULTD1」、「メタフィジカル・トランスファー」(Metaphysical Transfer)、「オデッセイ」(Odyssey)、「ハリアリス」(Hollyaris)、「スオミ」(Suomi)、「鳥獣戯画」などがある。

一時期は、アメリカ合衆国・ニューヨーク州ウォーウィックに本部を置くキリスト教系宗教団体である「エホバの証人」に入団の上、その教えに従ってサラリーマン生活を送っていたこともあるという。特にインターネット普及前は本人に関する情報が乏しく、その存在自体が極めて謎に包まれていたが、それが前述のミステリアスなスタイルにさらに拍車をかけ、人気の要因ともなっていた。

死因は、癌であった。74歳。これまでにも癌を発症したことが2度ほどあったものの、そのたびに克服し、音楽活動を継続してきた。しかしながら最期はやはり癌を前に、力尽きた格好となってしまった。

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