武満徹

(たけみつとおる)
作曲家・音楽プロデューサー。女優である若山浅香の夫。字幕翻訳家で、クラシック音楽専門チャンネル「クラシカ・ジャパン」の副社長も務めた武満真樹の父。衆議院議員を長きに渡って務めた政治家である武満義雄の孫。

ほとんど独学によってマスターしたアヴァンギャルドな音楽によって有名だが、特に、1967年に作曲した尺八や琵琶を活用するオーケストラ音楽「ノヴェンバー・ステップス」は、アメリカの5大オーケストラの1つ「ニューヨーク・フィルハーモニック」によって演奏されるなど、世界的にその名を知らしめる作品となった。

以後、「世界のタケミツ」と称され、イェール大学の客員教授として歓迎されたり、「ニューミュージック・コンサーツ」や「キャンベラ・スプリング・フェスティバル」といった世界的なイベントに作曲家として招かれたりした。

また、1964年の東京オリンピック、1972年の札幌オリンピックなど、オリンピックで使用されるオーケストラ曲などの作曲も手掛けているが、2021年に開催された東京オリンピックにおいても、新国立競技場で行われた閉会式にて、当人が手掛けた楽曲が使用されたことは、大々的には告知されておらず、世間的にはあまり知られていない。

主な作品に、「弦楽のためのレクイエム」「ソリチュード・ソノール」「グリーン」「地平線のドーリア」「鳥は星形の庭に降りる」「トゥリー・ライン」「精霊の庭」「テクスチュアズ」「アステリズム」「ジェモー」「遠い呼び声の彼方へ!」「オリオンとプレアデス」「リヴァラン」「セレモニアル」「ミロの彫刻のように」「ガーデン・レイン」「秋庭歌」「ディスタンス」「ア・ウェイ・ア・ローン」「声」「エア」「巡り」「不良少年」「エキノクス」「雨の樹」「四季」「ソン・カリグラフィ」「ヴァレリア」「ブライス」「波」「海へ」「ウォーターウェイズ」「夢見る雨」「そして、それが風であることを知った」「2つの小品」「ロマンス」「ピアノ・ディスタンス」「サーカスにて」「こどものためのピアノ小品」「芝生」「手づくり諺」「○と△の歌」「恋のかくれんぼ」「昨日のしみ」「MI・YO・TA」「クラップ・ヴォーカリズム」「クワイエット・デザイン」「水の曲」などがある。

また、映画音楽も数知れず、「狂った果実」「いたづら」「ホゼ・トーレス」「充たされた生活」「おとし穴」「太平洋ひとりぼっち」「白と黒」「二十一歳の父」「異聞猿飛佐助」「けものみち」「伊豆の踊子」「日本の青春」「京」「3つの映画音楽」「どですかでん」「2つのシネ・パストラル」「いのちぼうにふろう」「桜の森の満開の下」「しあわせ」「天平の甍」「気」「水俣の図」「嵐が丘」「黒い雨」「ヒロシマという名の少年」「ライジング・サン」「火まつり」「食卓のない家」など、枚挙に暇がない。

その他、「家なき子」「ムックリを吹く女」「正塚の婆さん」「目撃者」「源義経」「源氏物語」「足利尊氏」「天皇の世紀」「イン・モーション」「未来への遺産」「赤穂浪士」「夢千代日記」「まあええわいな」「ジョバンニの銀河」「21世紀は警告する」「今朝の秋」「山頭火」「幻 源氏物語絵巻」といったテレビドラマのテーマ曲、「音の四季」「男の死」「ポジション」「チャンピオン」「瘋癲老人日記」といったラジオの楽曲、さらには演劇で利用される音楽、小学校・高等学校の校歌、自治体の歌など、あらゆるジャンルにおいてさまざまな楽曲を手掛け、全てを紹介しようものなら膨大な量のページが必要となり、とてもではないがここに書き切れるものではない。

その存在や数々の楽曲は、世界の著名な音楽家や作曲家にも多大なる影響を与えた。例えば、映画音楽を手掛けることで有名なアメリカの作曲家ジョン・ウィリアムズは、武満徹に大きな影響を受け、SF映画「ジュラシック・パーク」の楽曲において、楽器の1つに尺八を採用するなどした。

晩年は、膀胱やリンパ腺における癌の発症や、間質性肺炎などによって、入院を含む闘病生活を送ることとなった。病院にて死去。65歳。病気に伴う体調悪化のためであるが、詳細な直接の死因は明確に公表されていない。

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