萱野茂

(かやのしげる)
アイヌ文化研究者・元政治家(参議院議員)。アイヌ語やアイヌ文化を継承するための活動に尽力したことで有名。アイヌとして初めて国会議員になったことでも注目を集めた。アイヌ民族活動家・政治家である萱野志朗の父。勲三等瑞宝章受章者。

1953年頃より、アイヌ民具・民話の収集やアイヌ語の記録に尽力。1971年、青年たちと2軒のチセ(アイヌの伝統家屋)を作った様子を描いた日本初のアイヌ語映画「チセ・ア・カラ」(「我ら家を作る」の意)が、映画監督で民俗学者でもあった姫田忠義により制作された。また、1972年、北海道沙流郡平取町に「萱野茂二風谷アイヌ資料館」を創設の上、館長を務める。1,100点余りにも及ぶ展示物は、のちに重要有形民俗文化財に指定された。

さらに、1992年には参議院議員通常選挙に日本社会党より比例代表として出馬。名簿第11位で落選したものの、1994年に繰り上げ当選を果たした。なお、目的であったアイヌ文化振興法(正式名称:アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律)を1997年に成立させたため、1998年に1期限りで政治家は引退している。

主な著書に、「ウエペケレ集大成」「風の神とオキクルミ」「木ぼりのオオカミ」「おれの二風谷」「アイヌの民具」「ひとつぶのサッチポロ」「二風谷に生きて」「アイヌの碑」「やさしいアイヌ語」「妻は借りもの」「国会にアイヌ語が響く」「アイヌ文化を伝承する」「萱野茂のアイヌ語辞典」「『アイヌとキツネ」などがある。

受賞歴に、菊池寛賞、吉川英治文化賞、北海道文化奨励賞、北海道文化賞、文化庁芸術作品賞、毎日出版文化賞などがある。

北海道札幌市にある病院にて死去。死因は、パーキンソン病による急性肺炎であった。79歳。

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