氷室冴子

(ひむろさえこ)
作家・小説家・随筆家(エッセイスト)。株式会社集英社の文庫レーベルである「コバルト文庫」より数多くの人気作品を出版していたことから、田中雅美・久美沙織・正本ノンの3名と併せて「コバルト四天王」との異名を取った。

北海道の中部、道央地方にある岩見沢市の出身。北海道札幌市に本拠を構える藤女子大学の在学中から執筆を始め、「小説ジュニア青春小説新人賞」において、「さようならアルルカン」で佳作を獲得するなど頭角を現す。1977年、同作品にて正式に小説家としてデビューを果たした。

以後、生活(経済面)は楽なものではなかったが、宝塚歌劇をテーマにした藤田和子作画による漫画「ライジング!」の原作を手掛けるなど、小説家として着々とキャリアを積む。転機が訪れたのは1985年に上京し、集英社が隔月で発刊していた雑誌「小説コバルト」に作品を発表するようになってからである。同雑誌に掲載された「シンデレラ迷宮」や「ざ・ちぇんじ!」などの作品を経て、「なんて素敵にジャパネスク」が大きな人気を呼び、一気に少女小説家としての地位を確立。同時に、集英社コバルト文庫の看板作家にもなった。

主な小説作品に、上述した「さようならアルルカン」や「シンデレラ迷宮」、「ざ・ちぇんじ!」、「なんて素敵にジャパネスク」を始め、「クララ&アグネス白書」「恋する女たち」「蕨ヶ丘物語」「なぎさボーイ」「多恵子ガール」「レディ・アンをさがして」「海がきこえる」「いもうと物語」「碧の迷宮」「ターン – 三番目に好き」などがある。

また、随筆(エッセイ)では、「プレイバックへようこそ」「ガールフレンズ」「冴子の東京物語」「マイ・ディア – 親愛なる物語」「冴子の母娘草」「ホンの幸せ」「いっぱしの女」など。

小説作品の多くが、他メディアにも幅広く展開されている。映画では斉藤由貴が主演を務め、高井麻巳子や相楽ハル子らが共演した「恋する女たち」や、少女隊主演の「クララ白書」など。アニメでは、スタジオジブリの人気作品「海がきこえる」など。テレビドラマでは、富田靖子が主役を演じた「なんて素敵にジャパネスク」や、佐藤仁美・武田真治が出演した「海がきこえる」など。舞台では、「ざ・ちぇんじ!」「レディ・アンをさがして」「シンデレラ迷宮」など。漫画では、「なんて素敵にジャパネスク」「アグネス白書」「ざ・ちぇんじ!」「少女小説家は死なない」「恋する女たち」「月の輝く夜に」など、多数。

死因は、肺癌であった。51歳。晩年は体調を崩しがちで、目立った執筆活動はなかったという。

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