池央耿

(いけひろあき)
翻訳家。文芸に携わる人間の職能団体である公益社団法人「日本文藝家協会」会員。

東京都大田区に生まれ、国際基督教大学を卒業後、産業技術映画協会・岩波映画製作所などへの所属を経てフリーの翻訳家になる。英語で書かれた随筆(エッセイ)から、推理小説・SF小説・冒険小説、ファンタジー、ノンフィクション作品まで、幅広い分野において翻訳を手掛けた。

代表的な訳書に、イギリスの作家ジェイムズ・P・ホーガンによるSF小説の名作「星を継ぐもの」や、同じくイギリスの文豪チャールズ・ディケンズが手掛けた中編小説「クリスマス・キャロル」などがある。特に、1980年に翻訳された「星を継ぐもの」は、日本でも熱狂的な人気を集めてベストセラーとなり、翌1981年には星雲賞(海外長編賞)を受賞している。

翻訳を手掛けたその他の作品には、「最後の谷」(J・B・ピック)、「ビートルズ」(ジュリアス・ファスト)、「マフィアの復讐」(チャールズ・ダービン)、「ボブ・ディラン」(バーバラ・リバコブ、サイ・リバコブ)、「みどりの谷」(ベン・ハース)、「すねた娘」(E・S・ガードナー)、「黒後家蜘蛛の会」(アイザック・アシモフ)、「我輩はカモである」(ドナルド・E・ウエストレーク)、「思考機械の事件簿」(ジャック・フットレル)、「魔性の子」(ロジャー・ゼラズニイ)、「E.T.」(ウィリアム・コツウィンクル)、「亡霊たちの真昼」(ディクスン・カー)、「コンタクト」(カール・セーガン)、「スパイよさらば」(フリーマントル)、「暗黒の塔」(スティーヴン・キング)、「マイライフ」(アービン・M・ジョンソン )、「閉鎖病棟」(パトリック・マグラア)、「アバラット」(クライヴ・バーカー)、「ザ・プロフェット」(カリール・ジブラーン)、「失われた地平線」(ジェイムズ・ヒルトン)、「タイム・マシン」(ハーバート・ジョージ・ウェルズ)、「二都物語」(チャールズ・ディケンズ)、「ブルース・チャトウィン」(ニコラス・シェイクスピア)、「ドラゴンを追え!」(アンソニー・リード)、「ガニメデの優しい巨人」(ジェイムズ・P・ホーガン)、「マフィアへの挑戦(シリーズ)」(ドン・ペンドルトン)、「スリーパー・エージェント」(イブ・メルキオー)など、枚挙に暇がない。

著書に、「翻訳万華鏡」(2013年)がある。

神奈川県川崎市にある自宅にて死去。死因は、脳出血であった。83歳。

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