小山内美江子

(おさないみえこ)
脚本家。TBS系列で放送された大人気テレビドラマシリーズ「3年B組金八先生」の脚本を手掛けたことで特に知られ、「金八先生の生みの親」などと呼ばれて親しまれた。そのほかの代表的な作品には、NHKの大河ドラマである「飛ぶが如く」「徳川家康」、同じくNHKの連続テレビ小説「マー姉ちゃん」などがある。俳優・映画監督である利重剛の母。

1930年、神奈川県横浜市鶴見区生まれ。地元にある鶴見高等女学校(現在の鶴見大学附属高等学校)を卒業後、映画製作のスクリプター(記録係)を経て、1962年にNHKのテレビドラマ「残りの幸福」にて脚本家デビュー。1979年から放送開始された武田鉄矢主演の「3年B組金八先生」では、2004年の第7シリーズまで脚本を手掛け、女子中学生が妊娠・出産する「十五歳の母」や、不良生徒が排除される「腐ったミカンの方程式」などのエピソードが大きな話題を集めた。杉田かおるや近藤真彦、田原俊彦などが出演した第1シリーズでは、最終回に39.9%(関東地区・ビデオリサーチ調べ)の視聴率を叩き出すなど、高い人気を獲得。その後も、性同一性障害に悩み、性別適合手術を受ける生徒を上戸彩が演じるなど、世間に一石を投じるテーマで注目を集め続けた。

上述したテレビドラマ以外の執筆作品には、「特別機動捜査隊」「炎の青春」「キイハンター」「ウルトラQ」「帰ってきたウルトラマン」「アイフル大作戦」「バーディ大作戦」「白い滑走路」「Gメン’75」「愛がわたしを」「おゆき」「もうひとつの道」「本日も晴天なり」「親と子の誤算」「父母の誤算」「風にむかってマイウェイ」「無邪気な関係」「黒いドレスの女」「華やかな誤算」「みんなマドンナ」「十九歳」「みなとみらいヨコハマ」「拝啓、男たちへ」「おれはO型・牡羊座」「泣きたいほどの淋しさに」など、多数。

著書(編著・共著を含む)に、「青空に叫ぼう」「加奈子」「母と子の旅」「早筆右三郎」「十五歳の愛 – 3年B組金八先生」「いのちの春 – 3年B組金八先生」「小山内美江子の本(シリーズ)」「21世紀を生きる君たちへ」「フレンドシップ物語」「そして幕があがった(上・下)」「アンネ=フランク」「それぞれの老いじたく」「外国人労働者と私たち」「母と子の旅立ち」「金八語録」「風のドア」「フットワーク軽くボランティア」「できることからはじめよう」「メコンに輝け桜小学校」「砕け散る秘密」「光と影の祭り」「赤い靴の女たち」「友達のきずな」「人生は還暦から!終活なんてまだまだ早い!」「我が人生、筋書き無し」「さようなら私の金八先生・25年目の卒業」「早筆右三郎」「日本の名随筆」「カンボジアから大震災神戸へ」「平和いつまでも」「司馬遼太郎の流儀」などがある。

主な受賞歴に、放送業界で働く女性を対象とした日本女性放送者懇談会賞(1995年受賞、のちの放送ウーマン賞)を始め、エイボン女性大賞、尾崎咢堂賞、菊島隆三賞、橋田寿賀子賞、赤い靴児童文学賞、ザテレビジョンドラマアカデミー賞(脚本賞)、山路ふみ子賞、毎日国際交流賞、横浜文化賞など。さらに、NPO法人「JHP・学校をつくる会」の代表理事を務めるなど国際的な教育支援活動に尽力し、その一環としてカンボジアを中心に約400棟の学校を建てるなどした功績が称えられ、カンボジア王国政府よりモニサラポン勲章大綬章を受章している。

死因は、老衰であった。94歳。死去の事実は、葬儀などが家族によって執り行われたあと、亡くなって8日ほどが経過してから明らかとなった。息子である利重剛の弁によれば、老衰による穏やかな死であったという。

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