大岡昇平

(おおおかしょうへい)
作家・小説家・評論家・フランス文学研究者。フランスの著名な小説家であるスタンダールの研究や、恋愛小説、文芸評論、戦記文学などで特に有名。

1909年、 東京市牛込区(現在の東京都新宿区)に生まれ、中学生時代よりゲーテや芥川龍之介、マルクス、西田幾太郎といった著者の作品に親しむ。1932年、京都帝国大学(現在の京都大学)を卒業後にスタンダールへの傾倒を深め、帝国酸素(現在の日本エア・リキード合同会社)への勤務などの傍ら、スタンダールの翻訳書を刊行。さらには以後、幅広いジャンルの小説を含めた数々の作品を執筆するようになる。そのほか、フランス映画輸出組合日本事務所(SEF)の文芸部長に就任し、フランス映画の字幕翻訳を手掛けたりもした。

主な著作(共著を含む)には、「俘虜記」「野火」「武蔵野夫人」「母」「妻」「化粧」「ザルツブルクの小枝」「夜の触手」「アマチュアゴルフ」「真昼の歩行者」「花影」「酸素」「現代小説作法」「逆杉」「文学的ソヴィエト紀行」「将門記」「在りし日の歌」「遥かなる団地」「昭和文学への証言」「ミンドロ島ふたたび」「レイテ戦記」「私自身への証言」「コルシカ紀行」「作家と作品の間」「わがスタンダール」「天誅組」「中原中也」「歴史小説の問題」「文学における虚と実」「ある補充兵の戦い」「ゴルフ酒旅」「無罪」「事件」「戦争」「ハムレット日記」「ルイズ・ブルックスとルル」「姦通の記号学」「ながい旅」「大岡昇平音楽論集」「証言その時々」「小林秀雄」「大岡昇平・歴史小説集成」「昭和末」「作家の体験と創造」「戦争と文学と」「二つの同時代史」「わが文学生活」「平塚らいてうと日本の近代」など、枚挙に暇がない。

翻訳を手掛けた作品には、「スタンダアル」(アラン)、「スタンダール伝」(アルベール・ティボーデ)、「パルムの僧院」(スタンダール)、「恋愛論」(スタンダール)、「スタンダール論」(バルザック)、「赤毛のレッドメーン」(イーデン・フィルポッツ)、「ユリアンの旅」(アンドレ・ジイド)、「すねた娘」(E.S.ガードナー)、「赤と黒」(スタンダール)などがある。

主な受賞歴に、毎日芸術賞、毎日出版文化賞、読売文学賞、朝日文化賞、横光利一賞、新潮社文学賞、野間文芸賞、日本推理作家協会賞など。

東京都文京区にある病院にて死去。死因は、脳梗塞であった。79歳。

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