日高敏隆

(ひだかとしたか)
学者。京都大学名誉教授。その他、東京農工大学農学部教授、滋賀県立大学学長、日本昆虫学会会長、日本動物行動学会会長(初代)、京都市青少年科学センター所長、総合地球環境学研究所所長・顧問などの要職を歴任した。イラストレーター・絵本作家である後藤喜久子(絵本作家としての名義は「ごとうきくこ」)の夫。瑞宝重光章受章者。

専門は、生物の行動を研究する生物学の1つである動物行動学である。なお、動物行動学は英語の「ethology」を訳した日本語であるが、一般的にethologyは動物に限定しないことも多いため、行動生物学と呼ばれることも多い。

幼少時代から昆虫少年として虫に多大なる興味を持ち、昆虫学者である矢島稔らとはその頃から交流があったという。旧制成城高等学校(のちの成城大学)在学中に昆虫からさらに対象を広げた動物学への関心が高まり、東京大学理学部動物学科に入学、理学博士の称号を取得する。

著書(共著・編著を含む)に、「動物にとって社会とはなにか」「ネズミが地球を征服する?」「人間についての寓話」「チョウはなぜ飛ぶか」「動物の生きる条件」「ネコたちをめぐる世界」「群となわばりの経済学」「ぼくにとっての学校」「プログラムとしての老い」「帰ってきたファーブル」「生きものの世界への疑問」「ネコはどうしてわがままか」「春の数えかた」「動物と人間の世界認識」「人間は遺伝か環境か?」「人間はどこまで動物か」「生きものの流儀」「なぜ飼い犬に手をかまれるのか」「世界を、こんなふうに見てごらん」「助けあう生物たち」「本能のジュークボックス」「生のかたち」「人類文化史」「情緒ロボットの世界」「森のほ乳類」「日本文化の新しい顔」「もっとウソを!男と女と科学の悦楽」「人間について」「日本文化の新しい顔」「動物の行動と社会」「甲虫のくらし」「シルクロードの水と緑はどこへ消えたか?」「生物多様性はなぜ大切か?」「人はなぜ花を愛でるのか」「地球環境学事典」など、多数。

また、翻訳を手掛けた作品(訳書)には、「種の起源」(エミール・ギェノー)、「生物学の歩み」(モーリス・コールリー)、「動物のことば」(テインベルヘン)、「動物学への招待」(ツィンゲル)、「人間の生物学」(ユジェーヌ・シュレデール)、「北アメリカ」(ピーター・ファーブ)、「動物の行動」(デティアー)、「地球の生きものたち」(デイビッド・アッテンボロー)、「利己主義と利他主義の生物学」(リチャード・ドーキンス)、「破壊の伝統・人間文明の本質を問う」(ジョン・A・リヴィングストン)などがある。

主な受賞歴に、南方熊楠賞、日本エッセイスト・クラブ賞、毎日出版文化賞などがある。

死因は、肺癌であった。79歳。

タイトルとURLをコピーしました