水島広雄

(みずしまひろお)
実業家。大手百貨店そごう(現そごう・西武)元会長。担保法に詳しい民法学者でもあり、東洋大学にて教鞭を執ったほか、同大学の名誉教授に就任している。なお、「水島廣雄」と表記されることもある。

中央大学を卒業後、株式会社日本興業銀行への勤務などを経て、1958年、株式会社そごうに副社長として招聘される。のちに社長、さらには会長も務めた。経営の危機に陥っていた同社を救い、国内有数の百貨店グループに育て上げた手腕は高く評価され、「そごうのドン」などと呼ばれて称えられた。また、その傍らで東洋大学にて教授も務め、中央大学でも非常勤講師として教鞭を執った。

しかしながら、1990年代前半のバブル崩壊に伴い、そごうも経営状態が悪化。銀行からの融資を頼りに、北海道から九州に至るまで全国に次々と店舗を出店するという経営戦略は、行き詰まることになる。1994年に社長から会長に退いていたが、2000年に会長職も辞任した。その直後、そごうは倒産。「放漫経営」を行っていたとして世間や関係者から厳しく追及された。負債総額は、実に1兆8,700億円だった。

著書に、「二重信託」「特殊担保法要義」「信託法史論」など。そのほか、業界誌などに発表した論文は多数。その一部に、「イギリス浮動担保の素描」「企業担保法案の批判」「企業の担保」「松本烝治先生の思い出」「企業担保としての英国浮動担保について」「イギリス浮動担保の観念とその現況」「イギリス譲渡抵当の変遷とその内容」「近代信託法理の継承」「恩師守屋善輝先生を偲ぶ」「関口雅夫教授と私」「各国における企業担保制度の概観」などがある。

死因は、心不全であった。102歳。晩年は、東京都世田谷区にあった豪邸を引き払い、東京都中央区の聖路加ガーデンにある聖路加セントルークスタワーの高級マンションにて、介護を受けながら生活していた。

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