(うめずかずお)
漫画家・タレント・歌手・作曲家・作詞家。「まことちゃん」「漂流教室」などのヒット作で知られ、ホラー漫画の第一人者として人気を博した。「ウメヅカズヲ」や「山路一雄」といったペンネームでの活動歴もある。
1936年、和歌山県伊都郡に生まれ、奈良県で育つ。小学生時代に手塚治虫の影響を受けて漫画家になることを志し、1955年、18歳のときに水谷武子との合作「森の兄妹」でデビューを果たす。1965年には講談社発行の「少女フレンド」にて連載された「まだらの少女」「ママがこわい」などの作品が多くの支持を獲得し、恐怖漫画という新たなジャンルのパイオニアとなった。そのほか、ギャグ漫画やSF作品、サスペンスなど、幅広い作風で数々のヒット作を発表。特に、無邪気で自由奔放な幼稚園児が縦横無尽に暴れまくる1976年の作品「まことちゃん」においては、指を特定の形に開いたポーズとともに発せられる「グワシ!」のセリフが社会現象となり、当人の代名詞ともなった。また、作詞作曲を手掛け、歌手やタレントとしても活動するなど、各方面でマルチな才能を発揮。明るいキャラクターとトレードマークである赤白のボーダーシャツでお茶の間の人気を博した。
発表した主な漫画作品は、上述したデビュー作「森の兄妹」や、「まことちゃん」「漂流教室」「まだらの少女」「ママがこわい」などの代表作を始め、「ロマンスの薬」「赤んぼ少女」「へび少女」「猫目小僧」「おそれ」「おろち」「死者の行進」「蝶の墓」「わたしは真悟」「洗礼」「楳図かずおの呪い」「14歳」「神の左手 悪魔の右手」「怪獣ギョー」「アゲイン」「愛の方程式」「ねがい」など。なお、多くの作品が映像化され、テレビアニメや映画、OVA(オリジナルビデオアニメ)作品として公開されている。
歌手として発表したシングル曲には、「ビチグソロック」「木村の兄さん」「サンバ・デ・まことちゃん」「まことちゃん音頭」「あしゅらの道のまん中で」「新宿烏」などがある。
作詞家として歌詞を手掛けた楽曲には、「寒い夜明け」(郷ひろみ)、「新宿烏」(谷村美月)、「ねどこ」(内田あかり)など、多数。
そのほか、「兵隊やくざ」「東京ゾンビ」「グーグーだって猫である」などの映画や、「うっかり夫人ちゃっかり夫人」「悪魔くん」「希望の党☆」「吉祥寺だけが住みたい街ですか?」「東京センチメンタル」などのテレビドラマ、「オロナミンC」(大塚製薬株式会社)などのテレビCM、「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!」「開運!なんでも鑑定団」「人生クイズ冠婚葬祭」「出没!アド街ック天国」といったバラエティ番組やお笑い番組、情報番組などでも活躍した。
主な受賞歴に、手塚治虫文化賞(特別賞)、ミケルッツィ賞(最優秀クラシック作品賞)、小学館漫画賞、アングレーム国際漫画祭遺産賞(フランス)など。また、2019年には、文化庁長官表彰を受けている。
楳図かずお 死因
死因は、胃癌であった。88歳。死去の事実は、亡くなって8日ほどが経過してから明らかとなり、各種メディアにて一斉に報じられることとなった。9月の誕生日の際には、米寿(88歳)を祝う様子がX(旧Twitter)に投稿されており、若々しく元気な様子にファンから安堵や喜びの声があがっていたばかりだった。なお、2013年には転倒による頭部強打で慢性硬膜下血腫を発症し2度に渡って手術を受けているが、その際は無事に復帰を果たしている。