(なかざわかつら)
声楽家・音楽教育家。東京音楽大学名誉教授。芸術および文化の振興を目的とした団体である公益財団法人東京二期会では理事に就任していた。国立音楽大学新潟県同調会会長などを務めた石本陽子は養女。著名な写真家である堺時雄は伯父。
1933年、満洲国(現在の中国)浜江省ハルビン市生まれ。東京都台東区に本部を構える東京藝術大学を中退後、声楽家の任意団体「二期会」の研修所に入り、長門美保や柴田睦陸らに師事。着々とキャリアを積んだのち、1959年に長門美保歌劇団ドヴォルザークの「ルサルカ」にて、主役である「ルサルカ」を演じてオペラデビューを果たす。以後、数々の舞台や公演に出演したほか、東京音楽大学で教授を務めるなど後進の育成にも積極的に尽力した。
現存する主なCD作品は、「日本抒情歌曲集」「落葉松」「日本の名歌を歌う – 椰子の実/浜辺の歌」「信時潔歌曲集」「みんなの童謡 – 赤とんぼ」「にほんのうた 心のうた」「ローレライ/世界の愛唱歌」「世界の愛唱歌ベスト」「ベートーヴェン:交響曲第9番 – マタチッチN響」「日本の声楽・コンポーザーシリーズ」「小学生の音楽鑑賞」「音楽健康法 – 創造力を高める音楽」など、多数。
主な受賞歴に、チェコスロヴァキア共和国スメタナ賞、ウィンナーワルド・オペラ賞(大賞)、モービル音楽賞(のちのENEOS音楽賞)などがある。
死因は、急性呼吸不全であった。82歳。