豊竹咲太夫

(とよたけさきたゆう)
文楽太夫(人形浄瑠璃語り)。文芸・演劇・音楽・美術など、さまざまな分野において卓越した実績を残した芸術家を顕彰するための栄誉機関「日本芸術院」会員。公益財団法人文楽協会技芸員。文化功労者。紫綬褒章受章者。八代目竹本綱太夫(人間国宝)の息子。なお、表記は「豊竹咲大夫」とされていた時期があるほか、幼少~青年時代までは、「竹本綱子太夫」(たけもとつなこだゆう)の芸名で活躍していた。

2019年、人間国宝(重要無形文化財「人形浄瑠璃文楽太夫」保持者)に認定されたことで有名。また、日本で唯一の「切場語り」(きりばがたり)であったことでも広く知られている。

1944年、大阪府大阪市に生まれ、1953年にわずか9歳にして義太夫節大夫である豊竹山城少掾に入門。文楽座にて、「竹本綱子太夫」の芸名で初舞台を踏んだ。1966年に「豊竹咲太夫」(初代)に改名し、深みのある語り口と豊かな人物描写で、若い時代から実力派として高い評価を受けてきた。近松門左衛門の作品や、「仮名手本忠臣蔵」などで舞台に立ち続けたほか、文楽伝承者養成の研修においては長きに渡って講師を務めるなど、後進の育成にも尽力した。さらに、ラジオでディスクジョッキーも務めるなど、ジャンルを問わず幅広い活躍を見せてきた。

著書に、「近松門左衛門名作文楽考(シリーズ)」「咲大夫まかり通る」などがある。

受賞歴に、芸術選奨文部大臣賞、日本芸術院賞、松尾芸能賞、咲くやこの花賞、東燃ゼネラル音楽賞、大阪文化祭賞、大阪芸術祭賞など、多数。

東京都内にある病院にて死去。死因は、肺炎であった。79歳。最後の舞台は、2022年9月に東京都の国立劇場で行われた公演だった。以後は体調不良のために休演が続いていた。

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