ロベール・バダンテール

政治家・法律家・弁護士・随筆家(エッセイスト)。フランス社会党に所属し、1981年、当時大統領であったフランソワ・ミッテラン氏の下、法相(司法大臣)として死刑廃止を実現したことで知られている。女優であるアンヌ・ヴェルノンの元夫。作家・哲学者・歴史学者・フェミニストであるエリザベット・バダンテールの夫。

1928年3月、フランスの首都パリにてユダヤ系の家庭に生まれ、当時フランスを占領していたナチス・ドイツの迫害により父親がゲシュタポに逮捕された上、強制収容所で亡くなるという辛い経験に見舞われる。当人はほかの家族とともにフランス南東部にあるサボワ地方へと逃げ延びた。第二次世界大戦後、アメリカへの留学などを経てフランスに帰国して弁護士となり、担当した凶悪事件の被告人が目の前でギロチンにて処刑される瞬間に立ち会ったことが、死刑廃止論を声高く叫ぶきっかけとなった。1981年、社会党のミッテラン政権で司法大臣に就任すると、死刑廃止運動に奔走し、同年10月に実現を果たす。以後も、憲法評議会議長(憲法院院長)、パリ西郊オー・ド・セーヌ県選出の上院議員(元老院議員)、欧州司法裁判所長官、欧州連合理事会・旧ユーゴスラビア和平委員会調停委員長などを歴任しながら、晩年までの長きに渡って国際的な死刑廃止に取り組み、世界各国にてその活動に身をささげた。

日本語に訳された作品は少ないものの、随筆家として数々の著書も残している。その一部として、「Une autre justice」「L’exécution」「La prison républicaine」「Un antisémitisme ordinaire」「L’abolition」「Contre la peine de mort」などがある。

死因などの詳細は明らかになっていない。95歳。死去の事実は、フランスメディアによって一斉に伝えられた。

タイトルとURLをコピーしました