長谷川一夫

(はせがわかずお)
俳優。「林長二郎」(はやしちょうじろう)、「林長丸」(はやしちょうまる)といった芸名で活動していた時期もある。第二次世界大戦前から戦後までの長い期間において日本の映画界を支える二枚目時代劇スターとして君臨し、「チョウさん」の愛称で親しまれながら大きな人気を博した。片岡千恵蔵嵐寛寿郎、阪東妻三郎、市川右太衛門、大河内傳次郎とともに数多くの時代劇映画に出演したスターとして「時代劇六大スタア」と呼ばれ、累計で300本以上の映画に出演。没後ではあるが、俳優として初めての国民栄誉賞を受賞するに至った。俳優である林成年、および女優である長谷川稀世・長谷川季子の父。同じく女優である長谷川かずきの祖父。紫綬褒章・勲三等瑞宝章受章者。

出演した主な映画には、「稚児の剣法」「白井権八」「黒手組助六」「忠臣蔵」「関の弥太っぺ」「沓掛時次郎」「くらやみの石松」「雪之丞変化」「鶴八鶴次郎」「藤十郎の恋」「大坂夏の陣」「支那の夜」「白蘭の歌」「熱砂の誓ひ」「燃ゆる大空」「三十三間堂通し矢物語」「幽霊暁に死す」「東宝千一夜」「或る夜の殿様」「銭形平次捕物控(シリーズ)」「月の渡り鳥」「鬼あざみ」「源氏物語」「風雲千両船」「薔薇いくたびか」「残菊物語」「江戸っ子祭」「忠臣蔵」「日蓮と蒙古大襲来」「四谷怪談」「疵千両」「秦・始皇帝」「ちゃんばらグラフィティー・斬る!」などがある。

テレビドラマでは、「半七捕物帖」「赤穂浪士」「おらんだ左近事件帖」「人形佐七捕物帳」「暗闇の丑松」など。

著書に、「私の二十年」「長二郎草紙」「舞台・銀幕六十年」「芸道30年」「長谷川一夫・美女才人対談」などがある。

主な受賞歴に、菊池寛賞、ブルーリボン賞(大衆賞)、松尾芸能賞(特別大賞)、菊田一夫演劇賞(演劇大賞)などがある。

なお、流行に左右されやすい軽薄な風潮を意味し、現在でも多用されている「ミーハー」という言葉は、当人のファンのために作られたものであるという。当時、若い女性が大好きだった「みつまめ」の「み」と、そのときの芸名であった「林長二郎」の「は」を合わせ、「ミーハー族」と呼んだことがきっかけ。

東京都港区にある病院にて死去。死因は、頭蓋内膿瘍であった。76歳。前年に糖尿病が悪化し入院しており、さらに1984年に入って妻を亡くしたこととも相まって、急激に体調が衰えていたという。

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