(なごししょうじ)
文楽人形鬘師(かつら師)・床山。文化財保存技術保持者。
文楽人形の鬘(かつら)を作った上、髪形を整えるという技術で数々の舞台を支えてきた。国立文楽劇場に所属していたが、その退職後も後継者の指導にあたり続け、四天王寺近く、谷町筋に面した場所に髪製の展示場兼作業場として「墨司庵」(まんじあん)を開設。文楽の普及と発展、啓発のために長きに渡って積極的な取り組みを続けてきた。2002年には、国が選定する「文化財保存技術保持者」に初めて認定された。
その作品に、遊女の中で最高の格式を持つと言われている太夫(たゆう)の髪型で、文楽人形かしらの「傾城」に用いられる髷(まげ)としてとりわけ豪華な鬘である「立兵庫」(たてひょうご、大阪歴史博物館所蔵)などがある。
死因は、心不全であった。85歳。