（わたなべたいすけ）
元プロ野球選手（投手）。少ない回転で大きく落ちる変化球「パームボール」を武器に南海ホークス（現在の福岡ソフトバンクホークス）で活躍した。
地元は福岡県であるが、慶應義塾大学に進学するために神奈川県に移り住み、慶應義塾高等学校に入学。野球部に入部し、1959年の2年生時にはあと1勝というところで夏の甲子園大会（全国高校野球選手権）への出場を逃す。しかしながら秋の関東地区大会では優勝し、翌1960年、春の選抜甲子園大会に出場を果たした（準々決勝敗退）。以後、高校生活を通じてエースとして活躍、県大会でノーヒットノーランを達成するなどの功績を残した。
その後、慶應義塾大学に進学してからも野球部でエースとして活躍。東京六大学野球リーグでは3回におよぶ優勝に貢献するなど、通算で29勝という記録を残したほか、1964年5月には、東京六大学野球リーグ史上初めてとなる完全試合を達成。奪三振7、内野ゴロ11、投球数は僅かに82球という快挙であった。
1965年、大学時代の輝かしい実績を引っ提げ、当時のプロ野球史上最高額となる契約金5,000万円で南海ホークスに入団。1年目からルーキーながら4勝をあげた上、2年目の1966年には16勝（7敗）を記録し、リーグ優勝に貢献。その年の読売ジャイアンツ（巨人）との日本シリーズでは、第1戦から3試合連続で登板するなど活躍。世界のホームラン王である王貞治や、ミスタージャイアンツである長嶋茂雄とも真っ向から勝負を挑んだ。チームは2勝4敗で日本一を逃したものの、当人は完投勝利したことなどが評価されて敢闘賞を獲得した。さらに翌年の1967年にも15勝を記録、オールスターゲームにも出場した。
1972年を最後の年として現役生活を引退。プロ通算成績は、稼働8年で221試合に登板、54勝58敗、532奪三振、防御率3.35であった。ちなみに、背番号は一貫して「20」だった。
福岡県飯塚市にある病院にて死去。死因は、敗血症性ショックであった。81歳。
