ケルヴィン・キプタム

陸上競技選手(長距離走)・マラソン選手(ケニア)。男子マラソンの世界記録保持者として有名。なお、氏名(Kelvin Kiptum)の日本表記は「ゲルビン・キプタム」「ケルヴィン・キプトゥム」「ケルビン・キプトゥム」などさまざま。

マラソン初挑戦は23歳のとき、スペイン第3の都市バレンシアで開催された2022年のバレンシアマラソンだった。このレースをデビュー戦としては史上最速(2時間01分53秒、世界歴代4位)の記録で制すると、4ヵ月後に行われたイギリスのロンドンマラソンでは、2時間01分25秒の世界歴代2位の記録を叩き出した。さらにその6ヵ月後、アメリカ合衆国イリノイ州シカゴで行われたシカゴマラソンにて、3レース目にしてついに2時間00分35秒の世界記録を打ち立て、一躍世界的なスターとなった。この記録は、これまで世界記録だった母国ケニアの英雄、エリウド・キプチョゲ選手の記録(2時間01分09秒)を34秒も更新するもので、男子マラソンがいよいよ2時間切りの世界に突入することを期待させるものだった。2024年4月に出場予定だったオランダのロッテルダム・マラソンや、同年夏にフランスの首都パリにて開催されるパリオリンピックでも、さらなる記録の更新が世界中から期待されていた。

ケニア西部にあるチェプコリオ出身。元々はトラック競技の選手として10,000m走などに出場しており、目立った実績はほとんどなかったものの、2020年のハーフマラソンで1時間を切る58分台の記録を出すなど徐々に頭角を現し始めた。また、丸亀国際ハーフマラソンに出場するなど、日本もたびたび訪れている。以後、フルマラソンに挑戦する準備を本格的に開始、ハーフマラソンへの出場が多くなり、2021年にはフランス北部・ベルギー国境近くにあるランスにて行われた大会で優勝するなど、好記録を連発。2022年12月、満を持してバレンシアマラソンにてフルマラソンに初挑戦、後半のタイムはマラソン史上最速となる1時間00分15秒を記録するなど終始ハイペースで走り抜き、史上3人目となる2時間02分切りを達成して優勝した。その後も人々の期待に応え、上述の通り、走るたびに自己の記録を塗り替えながら、ついには世界記録を達成していた。

死因は、交通事故であった。24歳。ケニア西部、エルドレットとカプタガトを結ぶ高速道路にて自動車を運転中、コントロールを失って横転したという。この事故により、コーチであるガルベ・ハキジマナ(ガルヴェ・ハキジマナ、ゲルヴァイス・ハキジマナなどの表記あり)も亡くなった。もう1人同乗していた女性は負傷し、病院へ運ばれた。世界のマラソン界を背負って立つ若者の早すぎる死に、世界中で悲しみの声があがっている。なお、のち(約10日後)に検視結果として、直接の死因が重度の頭部損傷であったことが検視官により明らかにされた。

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