(あわづのりお)
文芸評論家・美術評論家・翻訳家・フランス文学者・詩人。特に、フランスの詩人であるアルチュール・ランボーの研究などで有名。文芸を始め、音楽や美術などさまざまな分野において特筆すべき功績を残した人物を顕彰するための文化庁特別機関かつ国立アカデミーである「日本芸術院」会員。そのほか、福島県いわき市立草野心平記念文学館館長や法政大学教授などを歴任した。紫綬褒章・勲三等瑞宝章受章者。
愛知県西尾市に生まれ、東京大学を卒業後、フランス文学を始め音楽評論や美術評論などを幅広く手掛けた。詩人・随筆家である草野心平と親交が深いことでも知られているほか、文芸評論家である小林秀雄にも私淑していた。
主な著書(共著・編著を含む)に、「ルドン – 生と死の幻想」「思考する眼」「詩の空間・粟津則雄文学論集」「近代芸術の意味」「詩の行為」「アルテュール・ランボオ」「表現の場」「ランボオとボードレール」「憂鬱なる旅行者」「大岡・中原・富永」「ゴッホの旅」「孤立と共鳴」「少年ランボオ」「ランボオの生成」「思考のアラベスク」「詩歌のたのしみ」「ヨハネの微笑」「萩原朔太郎論」「小林秀雄論」「正岡子規」「日常と記憶」「書物との対話」「音楽のたのしみ」「オディロン・ルドン」「音楽と文学との対話」「美の近代」「幻視と造形」「聖性の絵画」「日本洋画22人の闘い」「雪のなかのアダージョ」「ヨーロッパ美術紀行」「自画像の魅力と謎」「あなたへの手紙」「音楽との対話」「日本人のことば」「沈黙に向きあう」「見者ランボー」「私の空想美術館」「ピカソ」「西行覚書」「草野心平集」「ルドン」「ランボオの世界」「安東次男全詩全句集」「粟津則雄が語る20世紀の素敵な演奏家たち」「ことばへの凝視」など、多数。
翻訳を手掛けた作品には、「わが父ルノワール」(ジャン・ルノワール)、「テスト氏/未完の物語」(ポール・ヴァレリー)、「ヴァイオリンは語る」「神経の秤/冥府の臍」(アントナン・アルトー)、「素晴しき時の震え」(ガエタン・ピコン)、「ことばとイメージ」(ムンク)、「想像力の散歩」(ジャック・プレヴェール)、「シュルレアリスムと絵画」(アンドレ・ブルトン)、「ジャコメッティとの最後の会話」(ジャン・クレイ)、「カフカ論」「文学空間」「マラルメ論」「来るべき書物」「カミュ論」(モーリス・ブランショ)などがある。
主な受賞歴に、亀井勝一郎賞、藤村記念歴程賞、鮎川信夫賞(特別賞)、日本芸術院賞(恩賜賞)など。
東京都練馬区にある介護施設にて死去。死因は、心筋梗塞であった。96歳。