キラー・カーン

元プロレスラー・元大相撲力士。小澤正志(おざわまさし)の本名を持つ新潟県西蒲原郡(現在の燕市)出身の日本人。「キラー・カン」などとも表記されることがある。「キラー・カーン」はプロレスラー時代のリングネームだが、入門当初は「小沢正志」、海外では「テムジン・モンゴル」だった。また、大相撲力士時代の四股名は「越錦」(こしにしき)、初土俵時は「小沢将志」。

新潟県新潟市立白山高等学校を中退し、春日野部屋に入門、1963年に初土俵。1971年にプロレスラーに転向、プロレス界の父とされるレジェンドレスラー・力道山が設立した日本プロレスに入る。

以後、新日本プロレスや全日本プロレスでも活躍し、195cmの長身と140kgを超える体重を武器に、木戸修、坂口征二、藤波辰巳らと戦った。その悪役レスラーぶりは、「蒙古の殺し屋」「謎のモンゴル人」と称され、多大なる人気を博した。また、アメリカでも活躍し、数々の外国人レスラーとも死闘を展開。特に、アックスボンバーを武器に日本でも人気を博した超人ハルク・ホーガンや、223cmの身長で相手を圧倒する大巨人アンドレ・ザ・ジャイアントらとの抗争は有名。

1987年に、プロレスラーを引退し、東京都新宿区の新大久保にて「居酒屋カンちゃん」をオープン。以後、飲食店やスナックを経営する傍ら、歌手や俳優などの芸能活動を行い、YouTuber(公式チャンネル「キラーカーンTV」)としても活躍していた。

プロレスラー時代の得意技に、首元へのモンゴリアン・チョップを始め、ダイビング・ダブル・ニー・ドロップ、エルボー・ドロップ、カナディアン・バックブリーカー、ギロチン・ドロップなどがある。

獲得したタイトル・栄誉には、MSG(マディソン・スクエア・ガーデン)シリーズ準優勝、MSGタッグ・リーグ戦準優勝、NWA・USタッグ王座、ミッドサウス・ミシシッピ・ヘビー級王座、WCCW・TV王座、スタンピード北米ヘビー級王座など。

歌手として発表したシングル曲には、「ふるさと真っ赤か(まっかっか)」「カンちゃんの人情酒場」「新宿三百六十五夜」などがある。

さらに、「隠密・奥の細道」「あいつがトラブル」「逃亡者・おりん」「名奉行・遠山の金さん」「ふぞろいの林檎たち」「巣鴨バラエティ横丁」などのテレビドラマや、「ハロー張りネズミ」「エバラ家の人々」「ZIPANG」「MUSASHI」といった映画などにも出演した。

著書に、「蒙古の怪人 キラー・カーン自伝」など。

死因は、動脈破裂であった。76歳。西新宿にて新たにオープンした居酒屋「カンちゃんの人情酒場」にて接客中、カウンターにて倒れ、病院に緊急搬送されたものの、そのまま帰らぬ人となってしまったという。晩年は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響などもあり2021年に「居酒屋カンちゃん」を閉店していたほか、自転車事故を起こしたり、S状結腸癌を患い入院を余儀なくされたりするなど、不運が重なっていた。それでも、2023年3月には、76歳の誕生日を機に上述した「カンちゃんの人情酒場」(自身が過去に発表したシングル曲のタイトルと同名)をオープンし、再出発を図ったばかりだった。

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